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レントゲンは正常でも専門医を受診してほしい!

リウマチ3つの症状

レントゲンは正常でも専門医を受診してほしい!
リウマチ3つの症状

リウマチが心配でお近くの病院を受診したところ、
「レントゲンで骨は問題ないですね」
「血液検査で少し引っかかるところはあるけど、まだリウマチとまでは言えないですね」
「軽いリウマチなのでまだ治療しなくて良いでしょう」
「リウマチかもしれないので、とりあえず軽いお薬で治療を始めてみましょう」
などなど。リウマチかどうかはっきりせずに不安をお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?

リウマチとなかなか診断がつかずにお困りの方から良くお聞きするのが、
「この痛みの原因がリウマチかどうか、はっきりさせたい」
「はっきりリウマチと分かってから治療を始めたい」という事です。

皆さんはリウマチの検査というと何を思い浮かべますか?手や足のレントゲンを思い浮かべた方もいらっしゃると思います。 ここで強調したいのは、「レントゲンで分かるのは数年以上経過した古いリウマチ」であり、通常皆さんが病院を受診される「1~2か月前から手首が腫れて痛いな、これってリウマチかも?」といったタイミングでレントゲンを撮影しても異常が見つからないことが多いという事です。これがリウマチの診断が難しく、また治療が遅れてしまう大きな原因となっております。
確かに数年前まではリウマチの検査というとレントゲンでした。ただレントゲンは骨しか写らず、リウマチが起きている関節の中を見ることが出来ません。そのため、レントゲンでリウマチの診断ができるという事は、レントゲンに写った骨が壊れ・変形が出てしまっているという事になり、これはリウマチを発症してすでに数年経過してしまった古いリウマチであることを示しています。
実はリウマチを発症してからの最初の1年間がリウマチの進行が一番進んでしまう時期で、しっかりとリウマチの治療をする勝負時なのですが、残念ながらレントゲンではその大切な時期にリウマチを診断することが出来ません。
そのため、ぜひ皆さんに覚えて頂きたいのが「レントゲンで骨に問題がない」ということは「骨が壊れていない早期のリウマチである」可能性が十分にあり、しかも「すぐに治療を始める大切な時期」の可能性があるという事です。

そこで、レントゲンで骨が大丈夫でも、リウマチの可能性が高く専門医を受診したほうがよい症状をまとめてみました。1つでも当てはまれば、リウマチやリウマチの親戚のような病気の可能性が非常に高いので、見逃さないでください!

レントゲンは正常でも専門医を受診してほしい!リウマチ3つの症状

  • 1 「手首、指の付け根、足首、足の指、肘」が腫れている。
  • 2 血液検査の「CRP」、「CCP抗体」、「RF定量」のどれか1つでも高いと言われた。
  • 3 皮膚科で乾癬(かんせん)と診断されている方で、手・指・足の痛みがでてきた。

それぞれ詳しく見ていきましょう!

一つ目は、「手首、指の付け根、足首、足の指、肘が腫れている」です。
まずは症状のある関節の場所に注目してください。リウマチと聞くとあちこちの関節が痛くなる印象があるかもしれませんが、実はリウマチが起きる関節と起きない関節があります。

リウマチが起きやすい関節

  • 手首
  • 手の指の付け根
  • 足首
  • 足の指の付け根
  • ひじ
  • ひざ

になります。これらの場所に痛みや腫れがある場合には、リウマチの可能性を考えます。

逆にリウマチが起きない関節や症状もあります。

リウマチが起きない関節・症状

  • 爪の付け根(指の先端、第一関節)の関節が痛い
  • 腰が痛い
  • 手や足がしびれる、ピリッと痛む
  • 手足がつる、こむら返りが多い

これらの症状は、加齢変化や背骨が原因になりリウマチの可能性が低いですのでご安心ください。整形外科の得意分野になりますので、そのまま整形外科をご受診頂ければと思います。

次に、関節に痛みがあるだけではなく腫れがあるかという点です。
関節の痛みだけですと、加齢による関節痛、更年期の症状、神経痛などリウマチ以外の原因でも起きてきます。そこで関節の腫れを見つけることが大切になります。

関節の腫れを見つけるポイントは

  • 反対の関節と比べてみると、関節が膨らんでいる
  • 他の関節に比べてしわが見えない、熱をもっている
  • 押すとブヨブヨしていて痛みがある

1つでも当てはまると関節が腫れている可能性が高く、リウマチの可能性がグッと高くなります。もちろん見た目や触っただけでは正確ではなく、最終的には関節エコー検査で関節の中に炎症が起きているのかを検査してリウマチの診断につなげます。腫れがある場合にはぜひリウマチ専門医にご相談ください。

二つ目は「血液検査のCRP、CCP抗体、RF定量のどれか1つでも高いと言われた」です。
CRPはリウマチなど体の中で起きている炎症の程度を示す検査、CCP抗体・RF定量はリウマチの体質があるかを示す検査で、この3つがリウマチの血液検査になります。
ここで、ぜひ皆さんにお伝えしたいのが、リウマチであっても必ずしもこの3つ全てが高くなるわけではなく、1項目でも引っかかればリウマチの可能性が十分あるという事です。

もちろん、3つ全てがひっかかるリウマチの方もいらっしゃいますが、2項目ないし1項目だけひっかかるリウマチの方もいらっしゃいます。さらには3項目全て正常のリウマチの方もいらっしゃるくらいです。ちなみに3項目全て正常の場合には、診断が難しい血清反応陰性の関節リウマチと呼ばれ、関節エコー検査のみが頼りとなります。

3項目をもう少し詳しく説明しますと、

CRPが高い
CRPは健常人では陰性になります。少しでも高いという事は体のどこかで炎症が起きており、何かしらの異常があることを示していますのでそのまま見過ごしてはいけません。よくある五十肩や老化の関節痛などではCRPは決して上昇しません。関節が痛くCRPが高いというだけで、関節リウマチや、そのほかの膠原病(リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎など)、感染症などその他の病気が隠れている可能性がグンっと上がります。
CCP抗体が高い
リウマチの体質をみる検査で、基準値を少しでも超えるとリウマチの体質があるという事になります。リウマチの体質があるという事と、実際にリウマチを発症しているかどうかは別になります。CCP抗体が高くリウマチの体質があっても、関節の痛みは腫れが無く、リウマチを発症していない場合には治療はしません。
一方、CCP抗体が高く、関節の痛みや腫れといったリウマチを疑う症状がある場合にはリウマチを発症した可能性がグンっと上がります。関節エコーで実際に関節に炎症が起きていることを確認しリウマチと診断、治療を開始します。
RF定量が高い
人間ドックなどでお馴染みの昔からあるリウマチ見る検査になります。リウマチの体質があると高くなるので、CCP抗体のように関節の痛みや腫れといった症状もある場合にはリウマチを発症した可能性が考えられます。ただRF定量検査は、CCP抗体ほど精密ではなく、少し基準値を超える程度は健常人でも見られます。また、シェーグレン症候群などリウマチ以外の膠原病でも高値となるので、リウマチ以外の原因も考える必要があります。

せっかく病院でリウマチの血液検査をして、3項目のうち1項目でもひっかかったという事はリウマチの可能性があることを教えてくれていますので、ぜひリウマチ専門医を受診し関節エコー検査などでリウマチの早期診断に活かしていきましょう!

三つ目は「皮膚科で乾癬(かんせん)と診断されている方で、手・指・足の痛みがでてきた」です。
これは厳密にはリウマチではなく、乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)というリウマチの親戚のような病気の可能性が高くなります。表面がぽろぽろと剥がれる湿疹がでたり、爪がボロボロしてくると言った皮膚科の症状に、リウマチの様な関節の腫れや痛みが出ることが特徴です。

この乾癬性関節炎は、メトトレキサートや生物学的製剤などリウマチのお薬でとても良くなります。また最近では乾癬性関節炎専用の生物学的製剤も登場し、さらに治療方法が良くなりました。ただリウマチと同じように治療が遅れると骨の変形や破壊が進んでしまうので、早期の診断が大切になります。

この乾癬性関節炎の診断で一番の問題となるのが、発症早期ではまずレントゲンでは分からないのはもちろんですが、血液検査でもリウマチのCCP抗体・RF定量のような診断に役立つ検査項目がありません。さらに、CRPもリウマチに比べて正常のままのことも多くあります。そのため、リウマチよりも診断がさらに難しい場合があります。また、関節の腫れや痛みが出たり引っ込んだりすることもあるので、痛風と症状が似ていて紛らわしいことがあります。
「乾癬(かんせん)というのは皮膚科で言われていたけど、まさかそれが関節の腫れや痛みの原因とは思わなかったよ」という方も多くいらっしゃいます。皮膚の乾癬が、実は関節痛の原因になっていると考えにくいのも、診断が遅れてしまうことにつながります。

そのため、「手指・足首・アキレス腱が腫れたり痛くなったりして、何度もリウマチの検査をしたけど引っかからずに原因不明の関節の腫れと痛みに何年も悩んでいる」といった方が実は乾癬性関節炎で、治療ですっきり良くなってしまうなんてこともよくあります。
そんな乾癬性関節炎を原因不明の関節痛のままにしておかないポイントをまとめてみました。

乾癬性関節炎を見逃さない4つのポイント

  • 皮膚科で乾癬(かんせん)と言われたことがある
  • 肘・膝・頭皮に皮膚のかけらがぽろぽろと剥がれる湿疹がある
  • 手指・足指・肘・膝・アキレス腱が腫れて痛くなることがある
  • 関節が痛い時に、CRPが少しでも高いと言われたことがある

1つでも当てはまることがあれば、ぜひリウマチ専門医にご相談ください。

リウマチ専門医の方は、「皮膚科で乾癬と言われていないか、お身内の乾癬の方がいらっしゃらないか」をしっかりお聞きすること、皮膚や爪に乾癬を疑う症状が出ていないかをしっかり診察すること、関節エコーで関節だけでなくアキレス腱なども含め腱鞘炎が起きていないかをしっかり検査することが大切になります。

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